「銀魂」

  

空知英秋

集英社 ジャンプコミックス

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江戸の町に突如現れた宇宙からの異人・天人(あまんと)。数年に及ぶ天人との戦争の結果、幕府は天人と手を結び江戸の文化は急激に発展するも、侍たちは廃刀令により自らの魂たる刀を取り上げられてしまう。幕府を利用しやりたい放題の天人と衰退の一途を辿る侍たち…。しかし、いまだ侍の精神を失わない男がここにいた。彼の名は坂田銀時、通称・銀さん。江戸の平和が乱れる時、銀さんの木刀がうなりを上げるッ!

  

他人に勧める時に一言で表現しにくい漫画である。宇宙人と江戸時代の人々それに新撰組(作中では真選組)という妙な組み合わせが独特の世界観を醸し出しており、ストーリーもギャグかと思えばシリアスだったり、シリアスかと思えばギャグだったり、非常にジャンル分けしにくい作品だからだ。敢えて言うなら「時代劇風SFお笑い人情モノ」といったところだろうが、こんな説明ではこの作品の魅力は1割も伝わらないだろう。

  

甘いものとジャンプが好きな主人公・銀さんは、普段はちゃらんぽらんな性格で、仕事の何でも屋も全く儲かっていないようなダメな大人の見本。しかし、ここ一番では必ずキメてくれる何とも頼れる存在だ。そんな彼の周りには、絶妙なツッコミを放つメガネの新八や、酢昆布好きの怪力チャイナ娘・神楽、そして幕府転覆を企む爆弾テロリスト・桂(ヅラ)や、そのテロリストを取り締まる武装警察・真選組の面々が集う。これらの登場人物たちが巻き起こす事件やコントのような騒動は、抜群のセリフ回しによって一層面白く展開する。

  

それゆえか漫画にしてはやたらとセリフが長いことも特徴なのだが、決して笑えるセリフだけが多い漫画ではない。笑いはあくまでオマケに留まるような、シリアスで人情味あふれる展開もあるし、また、ギャグでの何気ないセリフが後のシリアス展開のための重要な伏線となっていたりもする。そして、もちろんシリアスなセリフも読者の心に強く訴えるものが多く、つまりセリフで笑えるだけではなく、セリフで泣ける漫画でもあるのだ。

  

ただ、惜しむらくは、いまだ発展途上である画力と演出力の問題だ。ギャグの時は全然問題ないのだが、シリアスなシーンでごく稀に「粗さ」を感じる時がある。別に画力を売りにしているわけでもないし、また前述のようにそれらを補って余りある魅力をいくつも持っている作品なのだが、直感的な視覚による演出の面がカバーされればより完成度の高いものに仕上がることは明白なので、「惜しいなあ」と思ったり思わなかったり…。とはいえ、「こうすればもっと…」という感想を抱く時点ですでにハマっているのであまり大した問題ではないのだが…。

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