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「HUNTER×HUNTER」
冨樫義博 集英社 ジャンプコミックス |
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自然の豊かな孤島で育った少年・ゴン。彼の夢はプロのハンターとなって彼の父親であり偉大なハンターであるジンを探し出すことであった。ゴンの前には、合格率数十万分の一と言われる「ハンター試験」に共に挑むライバルたちや、「天空闘技場」における未知の能力を操る強者たち、そして世界に名高い最強盗賊集団「幻影旅団」、さらに他生物と融合する知的生命体「キメラ=アント」などの強敵が次々と立ちはだかるが、彼は多くの仲間や師匠に支えられながら立ち向かっていく…。
一部の限られた人間のみが身につける「念」という特殊能力を用いて敵と戦うという、いわゆる「能力バトル漫画」。作者の天才的なゲームセンスと緻密な計算から生まれるネームの融合によって描かれるバトルシーンはまさに圧巻である。「念」はその内容によって6つの系統に分かれており、また能力者自身の健康及び精神状態に左右され、さらに「制約と誓約」というデメリットをメリットに転化する特殊ルールも存在する。ゆえに戦闘における相性の問題が生じ、状況や作戦によっては小が大を制するという結果も起こりうるため、読者は常に手に汗握るバトルの醍醐味を味わうことができる。
もちろんバトル以外の構成、そしてゴンを始めとする登場人物の描写も見事だ。ハンターを中心とした独自の世界観や言語などの設定がキチッと決まっており、またその設定が十分に生かされた街、団体、イベントなどが存在するので、読者もゴンと同じように未知の領域に足を踏み入れた感覚を楽しむことができる。作品世界にどっぷり漬かりたいという漫画好きにはたまらないものだろう。また、敵・味方を問わずそれぞれが「夢」や「野望」に向かって真っ直ぐであり、それぞれが「冨樫節」とも言うべき物事の正否を超えた魅力的なセリフを口にする。そのため悪役でありながら読者に好かれる人物も多い。
ストーリーにおいても、十分に張り巡らせた伏線を見事に消化し、常に読者の予想の斜め上を行く展開、それも決して一本筋でないものを見せつけてくれるので、まるで職人芸を目の当たりにしたかのような感覚になる。また、そのストーリーから導き出されるテーマも「一人の少年が大人の世界の厳しさを学んで強く成長していく」というものであり、まさに「少年が読む漫画」として非の打ち所がない作品だ。もちろん優れた少年漫画が大人の鑑賞にも耐えうることは言うまでもないだろう。
しかし、この作品には致命的な欠点があり、それは作者が「都合」で度々休載することである。しかも最長で1年と7ヶ月。普通の作家ならとっくの昔に打ち切られている。ゆえに読者や業界関係者などからその姿勢に対して批判の声が上がることも多い。だが、個人的に本作は最後までテンションとクオリティを保ったまま完結してもらいたいと願っているので、そのために都合による休載が必要条件であるのならば、作者がどれだけ休載しようとも、以前の「幽遊白書」のようなブン投げた終わり方をしたり、あるいは永遠に未完の大作になったりするよりはマシだと考えている。「面白い漫画を読むためならひたすら待ち続ける」。これが自分のハンター読者としての「制約と誓約」だ。 |
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